国を支配しているのは男 その男たちを支配しているのは私
古代エジプトのプトレマイオス朝最後の女王(在位紀元前51~30)。ギリシャ語やエジプト語の他にも、ラテン語、ヘブライ語、アラビア語、ペルシア語、エチオピア語などさまざまな言語に堪能、その美貌と明晰な頭脳で英雄たちをも自由に操ったクレオパトラ7世の言葉です。
クレオパトラが即位して3年後、ローマの将軍シーザーがエジプトを支配すべくアレキサンドリアに入城。ローマと戦うか、同盟を結ぶか。そのとき彼女は驚きの行動に出ます。
バラに麝香、シベット、アンバーグリスは魔性の媚薬
美しく輝く肌にたっぷりと香料を塗り、絨毯にくるまってシーザーのもとに運ばせます。「エジプト女王からの贈り物でございます」そう言って商人が絨毯を床に転がすと、馥郁とした香りを漂わせたクレオパトラの姿が!彼女が愛用していた香料はバラに麝香、シベット、アンバーグリス。
どれも媚薬に使われる高価なものですが、シーザーの前に姿を現したクレオパトラはどのような香りをまとっていたのでしょう。もしかすると特別に調合させた究極の媚薬だったかもしれませんね。
本能を刺激する魅惑的な香りを武器に
五感の中でも嗅覚は原始的で本能的な感覚。バラや麝香などには官能的な気分、性欲を高める催淫作用があるといわれています。シーザーが失脚してのち、実権を握るであろうアントニウスへの接近方法にも香りが効果的に使われました。
彼女が用意したのは膝まで埋まるほどのバラの絨毯。アントニウスもまたエジプト女王の手中に落ちたのです。もしクレオパトラが香りという武器を持たなかったら。シーザーやアントニウスを一瞬にして魅了することができたでしょうか?
香水は効果的
現在はいろいろな種類の香水が手に入りますが、日本人は元々体臭が弱いので好き嫌いが分かれるものでもあります。(香水は体臭がキツイ西洋人が生み出したものです)
意中の人を誘惑するつもりでまとったつもりが、相手の苦手な香りでは逆効果。そんなときは天然のバラの香りが一番。バラそのものの香りが、肌や吐息からほのかに漂う“飲むフレグランス”で男性の本能を揺さぶり、貴女の虜にしてしまいましょう。
ロング、セミロングヘアなら髪をまとめたところに小さなバラの蕾をさり気なく挿しておくのもいいでしょう。
英雄(金持ち)を屈服させるのに武力など必要ない
クレオパトラの逸話は数多ありますが、なかでも有名なのが「若狭と美貌を保つ秘訣はオーラルセックスだ」という説と真珠の耳飾りのエピソードです。※前者は別途取り上げます。
アントニウスを喜ばせるために宴を開いたクレオパトラですが、あらゆる富と権力を持ち、贅沢に慣れているアントニウスにとっては退屈なものでした。そこでクレオパトラは召使に酢が入った盃を持ってくるよう命じます。彼女の耳を飾る世界最大ともいわれる真珠。
ひと粒で国が買えるほどの真珠を、クレオパトラは惜しげもなく盃に投げ入れ「ローマとエジプトの繁栄のために」と乾杯したのです。さらに、もう片方も盃に入れようとした彼女をアントニウスは「私の負けだ」と止めたといいます。
英雄(金持ち)を屈服させるのに武力は要らない。類まれな発想力、潔さ、そして想像を絶するサプライズ。クレオパトラのような語学力や財力がなくても男性をひれ伏させ、思い通りにすることができます。
頭がいい、は勉学において優秀であればよい、というものではありません。相手の立場で物事を考えられる、気配り上手、機転が利き相手に恥をかかせない。そして程よく物知りであること。
お馬鹿キャラが通用するのは器の小さい、自己顕示欲だけのつまらない男です。本物の紳士が妻に選びたいのは内面が豊かな女性。自分が英雄だったら、どんな女性を妃に選びたいか。想像してみてください。
アフロディーテからの贈り物で恋の勝者に
クレオパトラが身に着けていた真珠は女性を美しく魅せるアイテムのひとつ。ギリシャ神話では、愛と美の女神アフロディーテが海の泡から誕生したとき体から落ちた雫が海に沈み、真珠になったといわれています。宝石言葉は純潔・富・完成。
真珠独特のやわらかな感触は身に着ける人を癒す力を持つといいます。
神秘的で吸い込まれそうな輝きは、ときに月に喩えられるほど。意中の人と逢うときは真珠のネックレスかイヤリング、またはピアスを。バロックパールより小振りでも丸いものがオススメです。
ある紳士はこう言いました。
「真珠を身に着けた女性は、それだけで特別な存在に見えてくる。騎士のように手を差し伸べ、可憐な花を扱うように接したくなるから不思議だ」